今月の一言

2024年3月

2月は例年より2週間早い19日に春一番が吹き、20日に東京で23.7℃、群馬県高崎市では25.7℃の夏日を記録するなど、一体夏はどうなるの?と戦々恐々する気候でした。ということでしっかりと暖冬ではあるのですが、常に暖かいわけではなく、気温の乱高下が激しく、急に冷え込む時には、先月も書いた冬の病たるギックリ腰や坐骨神経痛、急に気温上昇する時には、肩凝り・頭痛・めまい・耳鳴り・のぼせといった春の病が発現し、冬と春の病の入り乱れる落ち着かない一月となりました。

これからは寒さで頻発する症状は落ち着いてきますが、春の病は逆に増えてきます。春の病は東洋医学的には、肝気の乱れにより体内の気が上昇し起こる上半身の症状です。この対処としては足の1・2指の間の付け根にある「太衝」や膝窩横紋の内端にある「曲泉」という肝臓強化のツボを刺激したり、食後や夜の入浴中などに下腿をしっかりもみほぐすことが有効です。

この肝気の乱れ、精神的には能動的な精神活動のコントロール不能という形で現れます。これがマイナスに働くと、やる気がでず、ボーとして物事に集中出来なかったり、鬱っぽくなったりします。プラスに働くと統制が利かずに突発的行動に出たり、イライラして怒りっぽくなったりするわけです。痴漢や露出狂などの軽犯罪が増え、周囲との摩擦や夫婦喧嘩が多くなるのがこの時期です。年初から妻の買い漁っている防災グッズや水の備蓄が妻の寝室を圧迫し、地震があったらこれで圧死するんじゃねーの?と思う今日この頃ですが、余計な事は言わずに、今日も穏やかに過ごす鍼師でした。

〜追記〜

今年6月の郵便大幅値上げを機に、ハガキでの休診予定通知を大幅縮小予定です。治療院での「一言・予定表」配布とともに現在、ホームページ等の改革中(shoujuin.netで試作中)です。なにかお気付きのことがあれば皆様のご意見お待ちしております。


先月の一言

2024年2月

 今年は元旦の能登半島地震に始まり、2日にも羽田空港で日航機と海保機の衝突事故と、とてもお祝いムードになれない年の幕開けとなりました。震災の犠牲者、海保機の犠牲者には謹んでお悔やみ申し上げます。その中でも日航機の乗員乗客の全員無事脱出は「まさに奇跡」と世界のニュースに報じられ、乗員の的確な指示と乗客の模範的な脱出は賞賛に値すると拍手を送りたいです。

 比較的暖かく推移してきた関東ですが、大寒の頃は寒波も来て、そのためか急性の腰背部痛(いわゆるギックリ)が目立ちました。このギックリというのは、脊柱起立筋の筋膜や椎間関節を支える靱帯といった軟部組織の損傷で、治療は局所の鎮痛による関連痛の排除と損傷部位の循環改善で治りますが、こじらせて慢性に移行させないことが肝要です。同時に多かった坐骨神経痛は、神経周囲の筋肉組織等が冷え込みによる緊張で一定時間神経線維を圧迫したことで、神経が過敏状態になり発症します。一度過敏化した神経は正常に戻るのに一定時間が必要になりますが過度な心配はマイナスなので避けましょう。ともかく、2月半ばまでは寒さが続くので、腰背部が冷えているときはカイロや腹巻きでガードし、トイレを我慢すると膀胱を中心に冷えるのと、腎臓の働きを邪魔してさらに腰に響くのでマメにお小水に行き、内外から温めましょう。

 敏感な人では1月前半から症状が出始めている花粉症。東洋医学では花粉症になる体質「水毒(水滞)」を改善するという根本療法がありますが、発症したら対症療法中心になります。効果的なツボとしては、メガネの鼻あてが当たる所にある「鼻通」というツボや正中線上で髪の生え際から1~2㎝入った所の「上星」というツボ、後は手の「合谷」があり、これらのツボをズーンと強めに押すという刺激をしばらく与えるだけでも鼻水症状の軽減を期待できます。

 先日、関東でも東京湾を震源とする震度4の地震がありましたが、元旦以降、防災意識マックスの鍼師の妻は、楽観的で危機意識の低い鍼師にイライラを募らせているようです。今回は妻が正しい(いつも正しいとは言わない)と、いずれ訪れる関東大震災に物資的にも心身的にも準備に協力しようと思ってます。…出来るだけ。

〜追記〜

今年6月の郵便大幅値上げを機に、ハガキでの休診予定通知を大幅縮小予定です。治療院での「一言・予定表」配布とともに現在、ホームページ等の改革中です。皆様のご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

2024年1月

皆様、あけましておめでとうございます。本年も鍼師祥寿院をよろしくお願い申し上げます。

新年を迎えるにあたり、昨年はどんな一年だったか振り返ると、ウクライナ・ロシア戦争は終息せず、新たにイスラエルが内戦状態に入り、国内はビッグモーターの不祥事からダイハツの不祥事まで大企業の不正が表面化し、政治では政権与党の自民党の政治資金問題が表面化し支持率急降下という事態になっています。加速度的に進化する文明や技術に対し、人間の未熟さは相変わらずなのでしょう。人間の活動の所為なのか、異常気象は常態化し、今年も酷暑になるのか?大災害も起こるのか?やはり人類は終末に向かっているんじゃないか?と、先行き不透明で漠然とした不安が増大しているように感じます。

慢性的な不安は、脳の海馬を萎縮させることが報告されていますが、そのことで記憶力は低下し、不安がもたらす神経伝達物質異常は欲望や衝動をコントロールする理性的な判断力を奪いトラブルを増やします。脳の扁桃体も敏感になり、ストレスに過剰に反応するようになり、自律神経は失調し、心疾患や脳卒中など血管障害のリスクが上昇し、健康寿命を縮めます。

この状態に加え1月から2月までの寒い時期は、早朝時のトイレの寒さ⇨血管収縮⇨血圧上昇による脳卒中や、入浴時の冷えた体に熱い湯⇨血圧急上昇⇨湯に浸かる⇨身体の弛緩⇨血管拡張⇨血圧急低下⇨貧血・失神⇨溺死というヒートショックが起こりやすいので注意です。急激な温度変化を伴う行動はじっくり焦らず行い、左手の脈を診て激しく打っている場合は、心臓や脳に大きな負荷がかかっていると自覚し、前腕の掌側中央を手首から肘までのライン(心包経)を10秒ほど指圧刺激すると心臓が余裕を持てます。また、第2の心臓であるふくらはぎをもむのも循環系統に余裕をもたせてくれます。

 不安や焦燥感に苛まれる方は、鈍感力を発揮し、ケセラセラで気楽に過ごしていただきたいものですが、なかなかに難しいもの。心臓のツボでもある「だん中(両乳首と正中線の交点)」が、心のこりをほぐすツボでもあり、第7と第8胸椎の間のツボ「至陽」と合わせてお灸をすると心が落ち着きます。ストレスの反応の出やすい左肩甲骨内縁も押して和らげると深く息が吸えてリラックスできます。心が弱っていたり鬱っぽくなると耳下から鎖骨内側につながる胸鎖乳突筋が凝り固まります。これをほぐすのも脳がリラックスし自律神経も調整されます。

 最後に精神不安の身近な原因は人間関係。「自分が相手より少しだけ損をするよう付き合いを心がけると上手くいく」。今年も穏やかに幸せを感じながら過ごす生活を大切にしたいですね。と誰か鍼師の嫁に言ってくれ(泣)。


2023年12月

今年は長い夏が終わると、10月は短く、11月はもっと短く、そして12月はあっという間に過ぎ去ってしまいそうな、時の流れの速さに呆然とする今日この頃です。秋らしい穏やかな日が本当に少なく、日々の温度差について行けず、風邪をひいたり、冷え込みによる腰痛が見られたりと、体調管理も難しいようですが、年末年始に向け、少々無理しながら突っ走っていく今年最後の1ヶ月。

 今年は外国観光客が多く訪れ、繁華街も賑わい、年末は様々なイベントで暴飲暴食の機会が増えるでしょう。「今日は酒量が多そう」と予測される場合は、肝臓の解毒能力を高めるL-システインを服用し、肝臓の反応点である「太衝」(第1指と2指の骨間の線上)を刺激しましよう。

 酔いに伴う暴食では胃腸に負担を掛け、さらに年末の忙しさやストレスが加わると、場合によっては胃や十二指腸潰瘍になります。朝、胃がドーンと重痛く、背中に痛みが生じたりすると要注意。「衝陽」(足の第2,第3指の骨間、足骨の高くなっているところ)にも圧痛反応が出ますので、足三里とともに、じっくり指圧や灸の温熱刺激を加えましょう。

 さらにこの時期は、お腹にくる風邪、ノロウィルスがあります。食中毒的な症状を呈するこの状態には、足の人差し指の付け根あたりにある「裏内庭」というツボに熱いお灸を据えると胃腸の炎症が早く治まります。身近に罹患した人がいる場合は、消毒も大事ですが、ノロウィルスはアルコール程度では死滅せず、有効なのは次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターなど)です。塩素臭いですが、ガンガン使って滅菌しましょう。

 今年はChatGPTに代表される生成AIが世界的なブレイクスルーを起こし、最近も手塚治虫の名作ブラックジャックの新作が生成AIとのコラボで誕生しました。まだまだ著作権など様々な問題をかかえていますが、医師の診断分野など人間の知的分野では活用される場面が出てきそうな予感がします。不機嫌な奥さんに、AIの夫婦円満のちょっとしたアドバイスを戴きたいと切に願う鍼師でした。


2023年11月

9月後半まで暑かった長い夏も10月は一転して一気に気温が下がり、朝晩は快適をすっ飛ばして寒い?感じでした。気温の日格差も大きく、感冒やらギックリ腰やら自律神経失調による倦怠感やら、体調管理が難しかったようです。

11月は「陽消陰長」といって、日はどんどん短くなり、さらに寒さが増し、気温の日格差も大きくなり、肺の負担は増していきます。立冬(今年は11月8日)を過ぎてからの風邪はこじれると高熱が出て、気管支炎、肺炎など重い症状で苦しむことになります。

夏、大幅に減少したマスク着用も、これからの季節は乾燥して冷たい空気を直接吸わず、喉や気管の温度や潤いを保つため有り難さが増します。気管支が弱い人で、マスク効果でも追っつかない人は、体質改善として、呼吸器に潤いを持たせる柴朴湯(さいぼくとう)はお薦めです。先月述べた肺を強化する「中府」「肺ゆ」、免疫強化の「大椎」などのツボ刺激は継続しましょう。食べ物では梨やユリ根、銀杏も鎮咳作用があり、大根おろしも効果的です。風邪は悪化させないよう、初期対応をしっかりしましょう。

 乾燥した空気は、皮膚にも影響します。乾燥しないよう保湿能力を維持したいところですが、皮膚の保湿で一番大事なのは角質層で死んだ角質細胞(垢の元)が折り重なっています。この層は同じ厚さのプラスチック膜並みの水の通りにくさを持っていて垢として自然に剥がれるまでは大事なコーティング材です。綺麗好きな人ほどやってしまうゴシゴシ洗いで刮げ落とすなど(24時間は回復しません)トンデモない。肌トラブルや掻痒症は良かれと思う洗いすぎも結構原因となってたりするので、洗顔や入浴の洗浄は、とにかく優しく、ホコリや汗、余分な皮脂を洗うだけくらいにしましょう。

先日、映画「沈黙の艦隊」を観てきましたが、原作はかわぐちかいじ氏の漫画で、鍼師が大学生の時、3大名作漫画の一つと思っていた作品です(映画は途中まで)。テーマは人類を核の脅威から如何に解放するか?というものですが、現在のウクライナ戦争やイスラエル・パレスチナ紛争を主人公の海江田四郎が見たら、他力本願はアカンけど、その神がかりな人間力で、なんとかしてくれるのではと夢想してしまいます。

2023年10月

今年の夏は、鍼師も夏バテを実感する猛烈な暑さでしたが、最後は一転し、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉を実感させられ、最後のイタッチッペで28日の猛暑日を記録するような夏の終わりでした。今年の猛暑が単発の異常気象のせいであって欲しい(毎年なんて無理)と願う今日この頃です。

気づけば日はかなり短くなり、朝晩は肌寒い日も出てきました。9月は新型コロナも第9波が来ていたようで、夏季に珍しいインフルエンザ流行もあり、ウイルス性感冒の流行は、気温や湿度の影響より、換気(常時エアコン運転による換気不足)の方が関連深いような気がしています。

これからは気温がさらに下がり、急速に空気が乾燥して本格的に秋の気配を感じるはずですが、東洋医学的な考え方では、秋は肺系(呼吸器・皮膚・粘膜)が影響を受ける季節です。これからは、肺を強化する「中府」「肺ゆ」、免疫強化の「大椎」、喉の強化や熱取りに使う「母指・人差し指の爪の生え際」といったツボを刺激しましょう。

風邪に対しては、発熱の初期には上半身の発汗を促し、解熱薬は熱のピーク(発症から1日程度)まで我慢して服用、というのが理想です。漢方薬は、悪寒など風邪初期は葛根湯、発熱時は麻黄湯、咽喉痛には小柴胡湯加桔梗石膏、運悪く長引くと桂枝湯と場面により上手く使い分けましょう。

さらに肺の影響は、受動的な精神活動に作用し、感受性が高まり、ナイーブになります。感受性がいい作品に繋がると「芸術の秋」になり、味覚が高まると「食欲の秋」になります。また、人間関係では「恋愛や失恋の秋」も盛り上がって、楽しいことはより楽しく、哀しいことはより哀しく感じられます。東洋医学的には「憂い・悲しみ」が過ぎると、さらに肺を傷つけると警鐘を鳴らしており、この時期は、何か辛いこと、落ち込むことがあっても、「秋が私をそうさせるのね」と責任転嫁したり、割り切って感情を爆発させ、涙をたくさん流すのが、精神衛生上も肺機能的にも大事です。

鍼師も先日、サザンのライブにて夫婦ともに発散・スッキリしてきましたが、どうか●嫁の良い機嫌が続きますように(笑)

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