今月の一言

2019年8月

 関東甲信越は、長かった梅雨が7月29日にやっと明けました。昨年の記録的に早い梅雨明け(6月29日)と比べると一ヶ月の違い。東京都心6月27日からの33日連続降水は、映画「天気の子」の世界さながらでした。近年関東には梅雨らしい梅雨がなかったからか、気持ちもドップリ鬱。京都アニメーションの放火殺人など気落ちする事件もあり、思考もどんより。鍼師も久々のダブルブッキングをやらかし患者さんにはご迷惑をおかけしました。

 さて、湿度は高かったものの気温は低かった梅雨から一転、暑さに慣れない状態で一気に猛暑日が連続しそうです。熱中症の危険度は今一番高いと考えて、先月の一言を参考に注意してください。暑さにも徐々に慣れてくるはずですが、これから2ヶ月は暑いものとして覚悟が必要です。暑さも長引くと、じわりじわりと陽気を消耗して夏バテになります。夏バテで影響を受けるのは、第一に消化器系で、食欲不振、腹部が張る、下痢、胃に由来する下肢の外側がだるくなる、などが出てきます。さらに進むと、動悸や心臓の痛みといった循環器系(特に心臓)、倦怠感・無気力といった心身症状にも及びます。

 胃の養生については、胃の運動には、しっかり空腹時間を作る事が大事なのですが、特に夜寝る前の食事は控えた方が賢明です。それでも暑さの影響で胃の運動不全になった場合、これに対するツボ療法としては、何と言っても「足三里」ですが、胃酸過多気味の場合は「足三里」に代わって「陽陵泉(膝外側の大きな骨の下)」を、消化不良で下痢気味の場合には「百会」も加えます。漢方薬としては「六君子湯」がおすすめ。主成分の一つビタミンPが、「グレリン」というホルモンの分泌を促進し、食欲増進・運動能力アップにつながります。ちなみに、ビタミンPは構成生薬の「陳皮」に含まれますが、みかんの皮を天日で乾燥させたものなので家庭でもすぐ作れます。ストレスが胃痛にきやすい人は、胃が知覚過敏になっています。これには少量(胸やけしない程度)の唐辛子(カプサイシン)を長期服用するのが有効です。胃痛がなくなるだけでなく、過敏性大腸炎にも効きますよ。

 さて、夏は、体内のこもった熱を取り除く「陰」の食べ物、いわゆるトマト、きゅうり、なす、といった夏野菜を身体が欲しますが、食べ過ぎは禁物。冷房の冷えと相まって、冷えや気怠さを感じたら生姜と一緒に摂るなど工夫しましょう。しかし、ニガウリ・セロリ・ピーマン・パセリ・グレープフルーツなどの苦みのある食材は、夏の「水毒」にたいする食養生としても、心臓を癒すためにも有効です。心臓やストレスに拠る心身疾患に対しては、「労宮(手のひらの真ん中)」のお灸やツボ指圧も試してみてくださいね。



先月の一言

2019年7月

 今年も、はや半分が過ぎました。台風3号とともに関西は今までで最も遅い梅雨入りをし、関東も近年には珍しく、梅雨らしい鬱々とした天気が続きそうです。湿度の上昇で坐骨神経痛をはじめ神経痛・関節痛、その他、身体が重くだるい、しんどいなど、梅雨時期特有の症状が多く見られた6月でしたが、7月中旬の梅雨明けまでは、先月書いたように水分の過剰摂取を気をつけましょう。

 逆に梅雨明して夏に突入すると熱中症が増えるので脱水に注意です。高齢になると、喉が渇くという感覚が鈍くなってきますので、水分補給は口に含む程度を20~30分毎にこまめに摂取しましょう。脱水だけでなく、冷房等で冷えた身体で急に30度をこえる温度の場所に移動すると、身体は急激で大きなダメージを受けます。もともと人間が対応できる急激な温度差は8度までで、これを超えると体温調節機能が著しく失調します。皆さんも炎天下に外出せざるを得ない時は、前もって空調を切って、身体を慣らしてから、外出するようにしましょう。熱中症は、軽度では四肢の痙攣・めまい、中度では、めまい・脱力・吐き気が起こります。この状態までは、涼しい場所で、衣類をゆるめて安静にし、食塩水やスポーツドリンクを少しずつ摂取すると回復します。重度になると体温上昇・意識障害が起こって危険です。脇下や股間を冷やしつつ、直ちに救急車です。中国医学では、熱中症は、陽気(特に消化系統を中心とした中焦の陽気)の消耗で、発症すると考えます。これらの症状には、中焦の中心である臍周囲や回復力を高める腰の腎ゆ・命門といったツボをじっくり温め補うことでより早く回復してきます。また、体内の水分調節機能を整える「五苓散」は、熱中症の治療・予防、さらに温泉の湯当り等にも使えます。

 先日、健康診断で尿酸値が高く、痛風になるよと脅かされた方が居られましたが、痛風も脱水の多い夏に一番多く発症します。尿酸はアルカリ化した尿に溶け込んで排出されるため、ナトリウム、カリウム、カルシウムを多く含む食品、ワカメ、ひじき、干し椎茸などを多く摂るのは効果的。Meijiから発売されているプロビオヨーグルトPA-3は、乳酸菌PA-3株がプリン体を取り込んで腸管からの吸収を阻害するので、食前に摂るのも良いかも知れませんね。