
鍼師の一言
今月の一言
2026年10月
9月は、全国的にみれば平均気温が平年を上回る地域も多かったようですが、「本当に?」と思うほど、関東だけは別世界のような一か月でした。
東京都心では8月27日から続く降雨が9月中に止むことはなく、梅雨でもないのに連続降雨日が2019年に記録した観測史上最長の33日間(梅雨時期)を超えることは確実です。降水量も9月の平均降雨量の3倍近くになるとか? 水害に見舞われた地域の方々は、本当にお気の毒に思います。
残暑どころか冷夏? いや、ずばり「梅雨の逆戻り」と言いたくなるような9月でした。そのためか、今年の9月は夏バテや熱中症よりも、天気痛と思われる頭痛・神経痛・関節痛・古傷の痛みなどが目立ちました。また、多湿な環境の影響もあってか、消化器系の不調を訴える方も多く、「食欲はあるのに胃腸がすっきりしない」「お腹が張ってもたれ気味」「便通がすっきりしないと思ったら、急に下痢や腹痛を起こした」といった訴えもみられました。
東洋医学では、心と身体は互いに影響し合うものと考えます。五臓と感情を結びつける「五志」という考え方では、脾は「思」と関係します。つまり、脾が弱ると「思い悩む」方向に心が傾きやすい、と考えるわけです。
実際、「ハッと気づくと同じことばかり考えている」「頭の中で同じことがぐるぐる回ってしまう」と話される方もいました。思考の堂々巡りです。
これに加えて、9月は梅雨以上に日照時間が短く感じられる日が続きました。日照時間の短縮は、季節性の気分変化に関係することが知られており、冬季うつ病などでは光療法が治療に用いられています。
患者さんからも、「先生、私、鬱だと思うんだけど?」という会話が何度かあり、「大丈夫、天気のせいだから。あなた一人じゃなくて、みんなそうだから」などと慰めておりました。
ただ、「ほら、鍼師も鬱っぽい顔してるでしょ?」と言ったときには、なぜか全く賛同していただけず「なぜ?」という思いも。解せぬ。
東洋医学では、感情と五臓の関係を非常に重視します。『素問・陰陽応象大論』には、「思傷脾、怒勝思」。つまり「思い悩みすぎると脾を傷つけ、怒の感情は思を抑える」という考え方が記されています。そして、古典には実際に「ある感情を別の感情で制する」という「情志相勝」という考え方があるのも事実です。
ということですが、これは「思い悩んでいる人は怒らせればよい」と単純に解釈してよいものなのか?これが解決方法になるのか? 現代の生活で伴侶が鬱っぽいからといって、「よし、怒らせてみよう!」というのは正解なのか?
さすがに皆さんへの検証もお勧めできません。鍼師も妻が暗い顔をしていたので、「これは怒らせてみるか……」と一瞬考えました。しかし、怒りを制御できなくなった時の映像が頭の中にフラッシュバック。そっと、「見なかったことにしよう」「気づかなかったことにしよう」と心に決めました(ヘタレ)。
さて、先月は秋の身体的な養生について触れましたので、今月はその流れで「心身相関」について、もう少し掘り下げてみたいと思います。
10月になると、いよいよ本格的な秋らしい季節になってきます。いつの間にか日もずいぶん短くなり、秋らしい、どこか物悲しい季節になってきました。
昔から、人の霊魂を「魂魄(こんぱく)」という言葉で表現します。東洋医学では、魂は比較的能動的・外向的な精神活動、魄は感覚や身体に近い受動的な精神活動として捉えられ、それぞれ肝と肺に関係すると考えられてきました。
特に秋は「肺」の季節。肺と関係する「魄」は、感覚や身体感覚に近い精神活動とされるため、秋には感受性が豊かになる、と考えることもできます。
それが良い方向に働けば、「芸術の秋」になります。味覚への感受性が高まれば、「食欲の秋」。人間関係なら、「恋愛の秋」「失恋の秋」ということになるのです。もちろん、これは東洋医学的な世界観から見た秋の捉え方です。
そして、古典では「悲」や「憂い」が過度になると肺を傷つけるとも考えます。『素問』には「憂傷肺、喜勝憂」とあり、憂いが肺を傷つけ、喜びが憂いを抑えるという考え方が示されています。
すから、この時期に何か辛いことがあったり、落ち込むことがあったりしても、「秋が私をそうさせるのね」と、少しくらい季節のせいにしてしまってもいいのではないでしょうか。そして、感情が高ぶった時には無理に我慢せず、感傷的に大泣きすることが、その人にとって気持ちを整理する一つのきっかけになることが多々あり、「スッキリ」して次に進めれた経験談も良く聞きます。「涙によってストレスホルモンが排出されるから健康になる」というほど単純な仕組みではありませんが、実際、感情的な涙とストレスからの生理的回復について研究もれています。健康のためにも悲しいときは我慢せずにしっかり泣くことをお勧めします。
また、「そうは言ってもなかなか・・・泣けません」という人は、ため込んだストレスで脳がマイナス状態になることがあります。脳がマイナス状態だと、様々な苦痛をさらに増幅することがあり、この増幅した苦痛が「本来の苦痛だ」と脳の勘違いを引き起こすと、苦痛の慢性化につながり苦労します。
鍼灸では、こうした心身の緊張を緩める目的で、頭部の「四神総」や、耳の後ろにある「安眠」などを使うことがあります。
四神総は百会を中心として、その前後左右に取る経穴で、精神的な緊張を和らげる目的などで用いられます。安眠も、首や後頭部周囲の緊張を緩めながら刺激することで、リラックスを促す目的で使われることがあります。
そして漢方では、気分がふさぎ、のどに何かつかえているような感じがある場合などに「半夏厚朴湯」が使われることがあります。一般用医薬品の効能にも、不安神経症や神経性胃炎、のどのつかえ感などが挙げられています。
心と身体は別々のものではありません。秋になって少し気持ちが沈みやすくなったら、「自分はダメになった」と考えるより、「季節が変わって、心も身体も少し変化しているのかもしれない」くらいに捉えてみるのも一つです。
食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋。そして、少しセンチメンタルな「心の秋」。泣いて、笑って、食べて、動いて。秋は秋らしく、心も身体もゆっくり整えていきましょう。
先月の一言
2026年9月
今年の東京の8月は、事前の猛暑予想の通りの酷暑から始まりましたが、昨年のように数週間晴天が続いて連続猛暑日を重ねるような状況ではなく、天候不順で一時的に涼しい時期があるなど、比較的過ごし易い一か月でした(西日本は違いますが)。体調も夏バテの方は少なく、梅雨時期の体調不良を引きずるような、神経痛・頭痛・関節痛といった天気痛、多湿により食欲はあるけど食後の胃もたれや膨満感が強いなどの消化器症状が多くみられました。
9月初旬まだまだ猛暑日が訪れる可能性も高く、すでに発生している秋雨前線は10月上旬まで停滞する見込みで、秋晴れ少なく台風と重なると線状降水帯も発生して荒れそうです。中旬以降は猛烈な暑さは収まるものの、残暑はまだまだ続くのかなと思われます。
これからの過ごし方としては、夏の延長線での冷たい飲食物は控え、内臓を温める作用がある根菜類(かぼちゃ、玉ネギ、レンコン、ニンニク、大根など)を食事に取り入れ、さらに食事の全体量も制限して胃腸の保養に努めることが大事です。
今年は8月から台風が日本列島に上陸していますが、本来は9月が最も多く台風が上陸する季節です。台風による急激な気圧の低下では、喘息患者が急増します。台風と共に体調不良になる方は、呼吸器が弱い体質(もしくは状態)であると自覚して、関連が深い秋を見据えて準備しましょう。
9月下旬に秋の気配を感じ始めると、空気が急速に乾燥してきて、夏の多湿からすると体感的には心地よくなるものの、防衛を司る呼吸器系統(呼吸器・皮膚・粘膜)に直接影響が出て、鼻汁・鼻閉・喉の痛みを中心とする風邪も増えます。今年は特にインフルエンザの流行が例年よりひと月早く進んでおり、余計に注意が必要です。また、夏の繁殖が終わったあとのダニの死骸や抜け殻、フンが原因で、9~11月くらいにかけてダニアレルギーの人が増加します。さらに、ブタクサ・よもぎ、カナムグラなどの花粉に対するアレルギーも発症します。また肌も乾燥して荒れ易くなり、腸の粘膜が乾燥して便秘になることもあります。
それでは秋の養生にすすめますが、まず大事なのは腸活です。腸壁には感染症やアレルギー予防のために働く免疫細胞の7割以上が存在するといわれているためです。腸内の状態は、アレルギーなど免疫の働き、肌の状態、心の状態など、体と心の両方に影響していきます。整腸食品である発酵食品や食物繊維が多い食品はこの時期だけでなく年間を通じて地道にをとりいれたいですが、逆に気を付けるものとして、麵類や菓子パンなどの小麦製品や砂糖がたっぷり入った飲食物をとりすぎると、栄養の吸収を行う小腸にダメージを与えます。小腸にはフィルターがあり、必要な栄養だけを吸収する仕組みがありますが、このフィルターが小麦や砂糖によって壊れてしまいます。すると、本来体内に取り込むべきではないアレルゲンや未消化物、重金属などの有害物質、菌やウイルスなどを吸収し、体内で炎症を起こして不調の原因となります。これを「リーキーガット症候群」といいます。この状態は、整腸食品などをとりいれると必ずいい方向へ変化します。改善の第一歩としてローズマリーとシナモンを挙げておきます。それぞれ抗菌作用があり風邪対策にもなりますが、リーキーガット症候群の原因となるカンジダ菌の除菌にも役立ち、腸内環境を整えます。ローズマリーはお肉やお魚料理にあわせやすく、シナモンは飲み物にちょい足ししやすいので、とても使いやすいハーブです。それから腸にプラスの食材としてネバネバ系の食材、塩麴、納豆、もずく、こんにゃく、米ぬか、七味唐辛子、サトイモ、酒粕。消化にプラスの食材・スパイスとしてカブ、山椒。抗菌作用の高いショウガ、ニンニク、ワサビ、コショウ、唐辛子、コリアンダー、シナモン、クローブ、クミン、ターメリック、バジル、ローズマリー、サフランなどです。
便秘には、食事のバランスを整える、適度に運動する、などの生活習慣から治したいものですが、腸内をうるおし、腸管を刺激することで便通をうながすに麻子仁丸という漢方薬もおすすめです。
最後に刺激療法として、首から肩甲骨内縁という肺に関係の深い領域にお灸の温熱刺激や乾布摩擦など、皮膚の刺激を通じて免疫力の強化を図り、肺系強化のツボ刺激として、中府(ちゅうふ:鎖骨外端の下・陥凹部の下3センチ位)や母指や人差し指の刺激も是非試みてください。
今月は熊本地震に引き続き災害も多く、千葉や石川富山福井で発生した線状降水帯では浸水による家屋や車両の大きな被害があり、関東も久々の大きな地震で、当時京都にいて東日本大震災を経験していない妻は飛び起きた後、恐怖と興奮が冷めやらず、明日忙しいから頼むから寝かせてくれと思う鍼師を寝不足に引きずり込む始末でした(泣)。
世界的にも、ネパールと中国の国境付近で発生した土石流は、災害パニック映画さながらの映像で、地球環境は大丈夫なのか?と不安を感じる今日この頃です。映画といえば、
先日、開戦前夜という映画を観に行きました。日本が大東亜戦争の開戦前にアメリカとの戦力差を研究して勝てないとの研究報告が出ていながらも回避できず戦争突入していく様子を描いていて、空気って怖いと感じました。また、東条英機が今のプーチン大統領にダブって見えるような気がして、個人でどうこう出来る話ではありませんが、最近戦況の厳しそうなロシアが最後に自暴自棄になって災厄を撒き散らさないよう切に祈りたいと思いました。
2026年8月
7月後半から最も暑い数週間が到来しましたが、熊本では最大震度7の地震が7月28日午後4時半ごろ発生し、10年前の大地震を超える大地震となりました。現時点で34人に上っている亡くなられた方々には謹んでお悔やみ申し上げます。被害の大きい地域では、停電により暑さを回避するために車中泊せざるを得ない状況になっており、心身ともに大変なことと思います。なんとか熱中症にならないよう気を付けていただきたいです。
さて、先日もあったのですが、夏場には、特に高齢の方で、数時間から数日という短期間に急速に足がパンパンに浮腫むケースがあります。一見水分の取り過ぎに思える浮腫みなのですが、実は逆に脱水です。病名は急性腎不全で、腎臓への血流が減少し老廃物がろ過されずに体に蓄積して腎炎を起こし、糸球体自体が傷付くことで腎臓の機能が低下し引き起こされます。腎臓への血流低下の一番の原因は脱水。だから夏場多いのです。血圧がそんなに高くないのに降圧剤を服用して低血圧になったり、頭痛等でロキソニンなどの非ステロイド系の消炎鎮痛剤を多用している人はさらにリスクば上がるので要注意です。とにかくマメな水分補給を心がけましょう。ちなみに、大量の汗に塩分などの電解質補給を怠ると、血中の塩分濃度を下げない反応として体が水分を拒否することがあります。自発的脱水といいますが、これも気をつけましょう。
急激に猛暑となり、始めは身体が付いていけない程でしたが、これからは徐々に暑さにも慣れてくるはずです。しかし、これから2ヶ月は暑さが継続するはずで覚悟が必要です。長引く暑さは、じわりじわりと心身消耗して夏バテになります。夏バテで影響を受けるのは、第一に消化器系で、腹部が張る、下痢、胃に由来する下肢の外側がだるくなる、などが出てきます。そして食欲不振になると「あれ食べたい、これ食べたい」は「あれやろう、これやろう!」に直結しているため、倦怠感・無気力といった心身症状にも及びます。さらに進むと、動悸や心臓の痛みといった循環器系(特に心臓)の不調に至ります。出来れば第一防衛線の消化器系で消耗を食い止めたいものです。
で、胃の養生ですが、まずは、しっかり空腹時間を作る事が大事。特に夜寝る前の食事は控えることで胃は余裕を保てます。それでも暑さの影響で胃の運動不全になった場合、これに対するツボ療法としては、ファーストチョイスで「足三里」。胃酸過多気味の場合は「足三里」に代わって「陽陵泉(膝外側の大きな骨の下)」を、消化不良で下痢気味の場合には「百会」が有効です。漢方薬としては「六君子湯」。主成分の一つビタミンPが、「グレリン」というホルモンの分泌を促進し、食欲増進・運動能力アップにつながります。ストレスが胃痛にきやすい人は、胃が知覚過敏になっています。これには少量(胸やけしない程度)の唐辛子(カプサイシン)を長期服用するのが有効です。胃痛がなくなるだけでなく、過敏性大腸炎にも効きます。
さて、夏は、体内のこもった熱を取り除く「陰」の食べ物、いわゆるトマト、きゅうり、なす、といった夏野菜を身体が欲しますが、食べ過ぎは禁物。冷房の冷えと相まって、冷えや気怠さを感じたら生姜と一緒に摂るなど工夫しましょう。先月紹介した「苓姜朮甘湯」を服用もお薦めです。また、ニガウリ・セロリ・ピーマン・パセリ・グレープフルーツなどの苦みのある食材は、夏の「水毒」にたいする食養生としても、心臓を癒すためにも有効です。心臓やストレスに拠る心身疾患に対しては、「労宮(手のひらの真ん中)」や「郄門:ゲキモン(前腕内側のど真ん中)」のツボ指圧も試してみてください。
先日、いつも元気で、大抵は働きすぎて肩こりで来られる患者さんが、暑気あたりした後、胃腸にきて、吐いて下して、ゲッソリ消耗して来院されました。元気な人が珍しく急に苦しむ病を鬼の霍乱(かくらん)と言いますが、現代でいう急性胃腸炎やコレラなどが該当するようです。このケースも、高温多湿で冷たい飲み物やアイスを結構連続して胃に入れて、食欲が少し落ちたところに、食べ物が傷んでいて胃腸炎を起こしたらしく、そりゃ仕方ないねという経緯でした。お腹や腰上、足三里をじっくり施灸し、回復をみましたが、皆さんも気をつけてくださいね。
熱が篭った感じがする時に単発で冷たいものの摂取で冷ますのはアリですが、連続やがぶ飲みは厳禁です。人間は頭が熱いと全身が熱いと錯覚してしまう生き物です。しかしながら、お腹や足の温度を手で確認すると、結構冷えていることがあります。きちんと確認して冷えによる機能低下を防ぎましょう。
さて、今年もすでにエアコンなしで室内熱中症死亡のニュースが入ってきていますが、体力がなく、暑さに鈍感な高齢者はエアコンを活用すべきなのですが、寒がって嫌いな方も多々おられ難しいですね。特に熱帯夜が続く暑い季節は、脳をクールダウンしてから眠るのがおすすめです。やり方としては、部屋を涼しくして鼻で腹式呼吸です。脳の自律神経の中枢はちょうど鼻腔の上にあるため、鼻呼吸によって自律神経中枢が冷やされることで自律神経機能が回復し、また、吸う息の倍時間をかけて息を吐くようにすると副交感神経優位になり睡眠の質の向上につながります。
ただ、エアコンの影響を受けすぎるのも問題です。夏はもともと体内熱を放出出来るように皮膚の毛穴が開きがちで、寒さに対しては無防備で、冷房によりストーンと深部に冷えが進行してしまいます。
ちなみに、夏は冷房のせいで冷え性の素地を作りやすい季節でもあります。冷えが進行するとどうなるのか?まず、末梢循環の血行不良(東洋医学では「血虚」や「瘀血」)を引き起こし様々な神経・関節などの痛みの元になります。また余分な水分の停滞(東洋医学では「水毒」と呼びます)を引き起こし、頭痛・肩こり・腰痛・生理痛等が慢性化します。冷えが胃腸機能に及ぶと消化不良・慢性的な下痢・意欲の低下もおこります。冷えがちで低体温化した身体が常態化すると免疫機能低下からガンにもなりやすくなります。さらに、深く進行した冷え性には、身体を温める陽気と身体を沈静化する陰気の分離を引き起こし、(冷え)のぼせ・ほてりといった症状を呈するものもあります。赤ら顔でいつも顔に汗をかいてハンカチ・タオルが手放せない人、この状態が長期化すると、クモ膜下出血、脳溢血、心筋梗塞などに襲われます。まさに冷えは万病の元ですね。人間は頭が熱いと全身が熱いと錯覚してしまう生き物ですが、お腹や足の温度を手で確認すると、結構冷えていることがあります。きちんと確認して冷え過ぎによる内臓や自律神経の機能低下を防ぎましょう。
どうしても職場環境等で冷える場所から逃れられない人は、「夏から始める冷え性対策」です。日常生活では、第一に下半身浴+「三陰交」のツボ刺激を1分間。第二に「水毒」に対する食養生。ニガウリ・セロリ・ピーマン・グレープフルーツなど苦みのある食材で、身体の余分な水分を取り去るです。さらに積極的な対策としては、末梢循環を鍛えておく方法です。①冷たい水と熱いお湯を1分毎に交互に7回繰り返す「冷温浴」と②仰向けに寝て手足を垂直に上に挙げて2分間ブラブラさせる毛管運動(ゴキブリ運動)は効果的です。3ヶ月頑張ると体質が変わります。
2026年7月
5月末は全国で2か所ほど猛暑日を記録する日もあり、連日の真夏日に6月がどうなることかと危惧しましたが、割と梅雨らしい気候となり、天候不順ながら比較的気温の低い日もありと、早々の夏バテを回避できたような気がしました。ただ、6月の一言通り梅雨の多湿と気圧変動による不調は多く見られました。梅雨明けは例年通り7月中旬になりそうです。先日熱波が襲ったフランスでは気温44.3℃に達したとのニュースが入りましたが、4月に気象庁が正式な予報用語として酷暑日(40℃)を新設したように、日本でも酷暑日が珍しくなくなるかもしれません。
さて、これからは、熱中症や冷房病が要注意です。脱水にはまめな水分補給を心がけていただくとして、冷房病は人の快適志向に乗じてじわりじわりと忍び寄ってきます。特に冷えた身体で急に30度をこえる温度の場所に移動する場合は身体に急激で大きなダメージを与えます。もともと人間が対応できる急激な温度差は8度までで、これを超えると自律神経機能が著しく失調します。当院でも治療室では快適に治療を受けていただくため、程よく温度・湿度を下げていますが、待合室は少し室温高め、さらに熱いお茶で体温を上げて、外に出ていただくようにしています。皆さんも炎天下に外出せざるを得ない時は、前もって空調を切って、身体を慣らしてから、外出するようにしましょう。
熱中症は軽度では、四肢の脱力・めまいとなりますが、中度になると、狂った自律神経のため体温調節が出来なくなり急激に体温上昇を起こして、酷いめまい・四肢の痙攣・吐き気といった症状が出ます。すぐ出来る救急措置は、保冷剤等で大きな動脈の表出する部位(頸、脇下、鼠蹊部)を冷やし、食塩水やスポーツドリンクを少しずつ摂取することです。最終的には体温暴走・意識障害など重度熱中症になり、点滴が必要な危険な状態になるので、直ちに救急車です。
それと中度以上では、内蔵にダメージを受けるので、お腹は冷やさない様(逆に温める)ようにします。中国医学では、熱中症にしても冷房病にしても、病因的には、陽気(特に消化系統を中心とした中焦の陽気)が消耗することで発症すると考えます。これには、中焦の中心である臍周囲や回復力を高める腰の腎ゆ・命門といったツボをじっくり温め補うことでより早く回復してきます。中国・明の熊宗立によって著された『医書大全』(1446年刊)という書には、夏の旅の途中、熱中症で倒れた人に、臍の周りに熱せられた土を盛って、そこにオシッコをかけて温めなさいと記されています。現代はUSBカイロが便利かもしれませんね。
先月、水分代謝能力を高め、熱中症などの予防で使う漢方薬として「防已黄耆湯」「五苓散」が良いと書きましたが、冷房病に対しては、全身の水はけと下半身の冷えを温める「苓姜朮甘湯」で冷房病の9割は治るとする漢方大家の講義録の記述もあり、この時期に揃える漢方薬として良さそうです。
もう一点、夏に発症しやすい病気(特に男性)に痛風について。現在の研究では、痛風発症の原因は、第一に内蔵脂肪。これは内蔵脂肪に含まれる肥満細胞が尿酸の元となるプリン体をたくさん作り出すように働きかけるからです。第二に運動不足。これは血中の尿酸が、下肢末端などに濃度を高め、結晶化するためです。以前当院の患者さんで、会社の定年前は夜の会食が多く尿酸値がかなり高めだった方が朝せっせとウォーキングに励んでいたものの、退職後会食が減り尿酸値がかなり下がったのに安心してウォーキングを止めたところ、一週間で通風を発症したことを聞きました。最後に脱水。これは全体的に尿酸の血中濃度を高めるからです。よくプリン体を多く含む飲料と指摘されるビールは、実はプリン体の含有量よりアルコールとしての脱水作用(アルコールは肝臓で分解処理に余計に水分を使う)が問題であるのです。痛風予備軍には特に水分補給です。当然ビールは水分補給にはなりません。また痛風には、尿がアルカリ化すると尿酸が溶け込んで排出されるため、ナトリウム、カリウム、カルシウムを多く含む食品、ワカメ、ひじき、干し椎茸などを多く摂るのも効果的です。Meijiから発売されているプロビオヨーグルトPA-3も乳酸菌PA-3株がプリン体を取り込んで腸管からの吸収するのを阻害するようで、有効なようですよ。
FIFAワールドカップ26では日本代表が大活躍中です。主力選手の故障が相次ぎ、どうなることかと思いましたが、順調に勝ち点を重ねて1stステージを突破しました。決勝トーナメントでも熱狂して盛り上がりたいものですね。熱狂といえば日経平均株価が7万円を超えました。半導体関連株の異常な上昇によるもので、長年株式の時価総額1位を堅持してきたトヨタをキオクシアが抜いたとのこと。原発事業の失敗でキオクシアの前身となる半導体部門を売り払わざるを得なかった東芝は涙目でしょうが、株価というのは上昇より急落が顕著です。株式投資をしておられる方は気を付けて注視していただきたいですね。株を一切保有していない鍼師は、自宅で飼っていたヤモリが卵を産んで熱狂しており、逆に妻がしきりに「気持ち悪い」を連発してましたが、可愛いやんねぇ。ちなみに最近ゴリラに熱中している妻は、上野動物園のゴリラ「ハオコ」に「シルバーバック、恰好ええわぁ」と「どこが?」。感性の合わない夫婦の日常でした。
2026年6月
5月に爽やかな気候はもう望めなくなってきたのか、今年の5月も初夏のような日差しの日と、梅雨の走りで梅雨っぽい日が交互に来るような一か月で、下旬は連日の真夏日と、本来調整期間となるはずの季節がちょっと微妙で、春の自律神経の乱れが尾を引き、不定愁訴や風邪、梅雨の前倒し的な神経痛とかが多く見られた一月でした。
鍼師の妻も、4月末に実家の義父の世話に行って帰ってから不調で、
妻「実家にネズミが入り込んで糞だらけなのを掃除してから調子悪い」「ネズミは齧歯類だからハンターウィルスかしら?」
鍼師「そのウィルスは日本に入っとらん(心の声)」
妻「きっとハンターウィルスよ!」
鍼師「…豪華客船で貰ってこい(心の声)」
というコントをやっておりました。
今年は沖縄が平年より早く5月上旬に梅雨入りしましたが、九州から東北にかけては6月中旬と平年より遅い梅雨入りになる見込みとのこと。本格的に梅雨に入ると、多湿のため、身体に水分が停滞し、熱が放散しにくくなります。体感的には、ジッとしていると寒いのに、少し動くと暑い感じです。この停滞した水分は、朝に顔をむくませ、夕方には重力で下がって足に靴下の後をガッツリ付けます。東洋医学で言う「水毒」の状態です。これに梅雨寒や気圧の低下が加わると、関節痛や神経痛・古傷痛が目立つようになります。これは急激な気圧の低下で体液成分が変化することと、冷えにより体表の血管壁が収縮し、痛みの受容器を刺激することによって引き起こされる痛みで「気痛」と呼ばれます。応急的には温めることが一番です。また、湿気は消化系統である「脾」に影響が出ると、吸収力も蠕動運動も低下し、お腹が張ってもたれ気味。尿も大便もすっきり出なくて急に下痢・腹痛を起こすこともあります。
これらの状態には、まず水分の摂取管理。特に血液ドロドロの対策意識が強過ぎる方は、この時期水の摂り過ぎが目立ちます。水分を摂るタイミングは「のどの渇き」だと思いますが、水分の摂り方は、冷たいものをガーっと飲むのは駄目です。少ない量から出来るだけ常温以上で口に含み、唾液を混ぜてゆっくり飲みます。実は、のどの渇きを止めるのは、水ではなくて唾液です。唾液は自前で作れる最高の胃腸薬とも言われ、炭水化物の消化はもちろん、殺菌作用で虫歯や歯槽膿漏の予防にもなり、胃酸の中和により逆流性食道炎の予防にもなります。そして、のどの渇きを抑えることで、水分の摂り過ぎを抑制します。噛む事でよく出るようになるので、食事では一口30回を目標に、よく噛む習慣を身につけましょう。当然消化も助けます。
次に水捌けの改善。多湿以外でも身体から水が抜けにくくなる要素は塩と砂糖。入院した時に不味いと感じる病院食は減塩をしていて味が薄くなっているためですが、入院中に余分な水分が抜ける経験をする方が一定数居られます。塩分より問題なのが糖分。東洋医学では甘いものを摂りすぎると使われない過剰栄養素が溜まり、水と絡んで「湿」となり、淀みや滞りの原因になると考えます。滞りが続くとなんとかそれを解消するためにその局所に熱が発生し、これが湿熱です。関節炎や皮膚炎にもつながります。
糖分に関しては、水捌け以外にも、血糖値スパイクという問題があります。「疲れたときには甘いものを!」と常識のように糖分の補給するのは実は間違いで、補給後疲れが取れたとテンションが上がるのは、急速に血糖値が上がる短時間のみで、その後反射的に膵臓からインシュリンが大量分泌され、血糖値は反転して一気に低血糖状態に陥り気怠く眠くなります。さらに低血糖を危機的状況と判断する副腎は、ストレスモルモンであるステロイドを分泌しますが、これが続いて副腎疲労に至ると、「疲れが抜けない」『気分が落ち込みがち』「集中力が持続しない」「偏頭痛がする」「睡眠の質が悪い」「あまり食べていないのに太る」などの「うつ」的な症状に陥ります。思い当たる症状のある方は、騙されたと思って1週間程、砂糖を中心とした甘い飲食物をカットしてみましょう。きっと違いが出てきます。それでも甘いものは止められないという方(分かります。甘いものって美味しいですから)、耳の飢点というツボで欲求を少々押さえられますから、ご相談ください。
最後に、発汗。体温調節に良い発汗とは、体温が上昇すると同時に、全身からサラッとした汗をかき、熱を放散させるとスッと汗が引いて汗腺が閉まる、エクリン腺中心の発汗です。肩甲骨の内縁が強張ってくると、汗が出にくいので、これをもみほぐしておき運動しましょう。運動が苦手な方は下半身浴などで汗を出す訓練です。当初はアポクリン腺中心の発汗で、ベタッとした汗が汗腺を塞ぎ、熱も放散せず、体力も消耗しますが、1〜2週間毎日、大量の汗をかくことで良い発汗を獲得できます。夏に向けての熱中症対策にもなりますよ。さらに発汗後牛乳を飲むと、ミルクプロテインが血中のアルブミンに変化し、血液量を増やしてバテにくい身体を造るそうです。
ツボ療法としては、先月書いた「足三里」「中脘」「少海」の刺激を継続し、食養生としては、利尿作用を高め水分代謝を改善するハトムギ、小豆、緑豆。脾胃を温めて、発汗を促すショウガ、ネギ、花椒が有効です。食べ方として、普段は胃に優しい暖かくて消化の良い食事を心がけて胃を休め、何日かおきにエネルギー効率の良い、精の付く食べ物(鰻や焼き肉など)を食べるというのも良しです。鰻にはビタミンBやミネラルも豊富に含まれています。「アレ食べたいコレ食べたい」の食欲は「アレやろうコレやろう」の意欲に通じるので、食欲を落とさず、美味しい食事が継続できるよう養生しましょう。また、漢方薬では、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)が消化吸収を助けながら、余分な水分を取り除く作用があり、熱中症で多用する五苓散(ごれいさん)も水分代謝改善で効果的なので、持っておいて損は無いでしょう。
2026年5月
4月は初旬の寒さから中下旬の暑さ、朝晩と昼の日格差も大きく、春に三日の晴れなしの如く、天気も気圧も不安定で変化の激しい一月でした。湿度も結構高く、梅雨みたいな日もあり、お腹の張りや胃腸の不調を訴える人も見られました。
3月の一言で春は肝気の乱れから精神的にはイライラすることが多く、計画性のない突発的な犯罪が増えると書きましたが、4月のワイドショーの話題をさらったのは、ホルムズ海峡関連を除けば、京都府南丹市園部小学校の小5男児行方不明事件でした。実は東日本大震災のさらに2年さかのぼる17年前に、鍼師の妻子が義母大病と介護のため京都に移り住むこととなり(鍼師まさかの単身赴任状態に!)、その町が園部町で、うちの息子たちが転校した学校が園部小学校だったため(ちなみに姪っ子の息子が現在も2年生で在学している)、我が家には土地勘もある実に生々しい事件となって注目していたわけですが、遺体発見という残念な結果となってしまい、ただただ冥福を祈るばかりであります。
この話に続けるのも何だかとは思いますが、この小学校の運動会で、鍼師は保護者のリレー競技で足がもつれて派手に大転倒し無茶苦茶恥ずかしい思いをするという、実にいや~な記憶があります。その後、運動神経の良かった人ほど、ギャップで差が出て転倒しやすいという話を聞き、自分を慰めた次第でありますが、過去の身体能力記憶と現在の身体機能のずれは、年を重ねるほど感じることが多くなり、けがや故障、衰えの自覚や動作の不安感とつながってきます。昔は数段とばかしで階段を素早く降りていたのに、段々出来なくなったとかありますよね。
脳からの指令通りに、筋力や柔軟性、バランス、リズムを使い、自分の身体を自在に操る技術を身体操作能力(コーディネーション能力)といい、
- 定位能力: 物体と自分の位置関係を空間的に把握する情報処理能力。
- 変換能力: 状況変化に応じて、動きを切り替える予測能力。
- 連結能力: タイミングよく身体をスムーズに動かす能力。
- 反応能力: 合図に素早く的確な動作で反応する能力。
- 識別能力: 手足や用具を視覚と連携させて調整する能力。
- リズム能力: リズムを作ったり、真似したりタイミングをつかむ能力。
- バランス能力: 身体バランスを維持し、崩れを素早く回復する能力。
という主に7つの要素で構成されます。
この能力の向上方法は、単なる筋トレではなく、神経と筋肉の連携をスムーズにするトレーニングが有効です。
- 反復練習・ドリル: 正しいフォームを繰り返し練習し、身体に覚えさせる。
- 体幹・インナーマッスルの強化: 姿勢を安定させ、力の伝達効率を向上させる。
- 柔軟性の向上: 関節の可動域を広げ、滑らかな動きを可能にする。
- 新しい動きへの挑戦: これまでやったことのない動作や、異なるスポーツを行うことで脳に新しい刺激を与える。
具体的には、
- 重心の移動→走る・跳ぶ・回る・泳ぐ
- 姿勢の変化→立つ・しゃがむ・逆立ち・ぶら下がり
- 道具の操作→投げる・打つ・蹴る・ドリブル
などです。
放っておくと年と共に段々衰えていく能力で、思い通りに身体を動かせなくなると、長生きするのも辛くなります。もしこの能力を維持・向上できると、少ない筋力で大きなパワーを発揮でき、全身の関節の連動がうまく協調するようになり、危険予測・回避能力を高まって、怪我の予防や運動パフォーマンスの向上につながり、メリット大です。
さて、5月の上旬は本来一年で最も快適に過ごせる時期です。陽気の上昇にも身体が慣れ、身体中の新陳代謝も最も活発になります。太陽の光も降り注ぎ、紫外線のビタミンD活性化作用で、この時期の運動は、骨を強化するので、なわとびなど、直接骨に負荷をかける運動は特にお薦めです(ただ、紫外線の必要照射時間は一日15分程度で、後は日焼けに注意)。過度な負荷で故障するのは禁物ですが、運動初めで引き起こされる筋肉痛は、運動負荷に見合った筋肉の状態(特に筋肉内の毛細血管の発達と十分な血液量)でないと酸素と栄養の供給が不足し、疲労物質が溜まり引き起こされます。この筋肉痛は毛細血管の発達の引き金となり、続けて使うと、疲れにくく回復しやすい筋肉にレベルアップします。こむら返り等、筋肉の痙攣が起きやすい方は、その要因の一つとなる筋肉内の毛細血管の発達を促進できるよう根気よく鍛えておきましょう。逆に、鍛える大変さに比べ衰えるのはすぐで、使わない状況だと筋力・心肺能力とも一日3%ずつ低下します。適度な運動は習慣にしたいものです。
初旬は比較的さわやかと予想される5月も下旬に入ると湿度が上昇し始め、不快指数が増してきます。湿度があがると消化器系統が影響を受けます。夏に体調を大きく崩す人は、この頃から少しずつ胃腸の負担が蓄積し、体調を崩し始めていることが多いため、胃腸に余裕を保って、しっかり機能する状態を維持して下さい。体調を崩すと、足三里や中脘(ちゅうかん:胸骨下端と臍の中央)、少海(肘の内側の骨のきわ、肘を曲げてできる横じわの内側の端)の刺激が必要になります。あまり胃腸に自信のない人には、あらかじめ短期間の断食などをして一時胃腸を休めてあげることをお勧めします。
2026年4月
昨年12月から2月まで、雨が降らず乾燥した気候から比べると、3月はちょこちょこと雨の多い一か月でした。三寒四温を繰り返しながら、雨が降るごとに気温が少しずつ上昇し、桜の開花が例年より早く、入学式まで桜が残っているか分かりませんが、春の訪れを実感できる4月に入ってきました。
春は元々、肝気が乱れ、気が上昇し首や頭が詰まる時期だと先月触れましたが、新しい年度が始まることで、環境ががらりと変わる時期でもあります。この時期は新しいことを学び始めたり、新しい環境から膨大な情報を目にしたり、調べものからネットサーフィンに夢中になったりと、やる気とともに脳がフル稼働する時期でもあります。すると、脳の情報処理力が追いつけなくなり、脳疲労、頭痛、眼精疲労という症状が出るものです。先月の一言のふくらはぎのマッサージやツボ療法に加え、頭痛に対する代表的な漢方薬である「釣藤散」を使うのもアリかと。めまいやイライラ、気分の落ち込み、肩こり、耳鳴り、不眠などの緩和にも効果があるとされています。その他、ラベンダーのマッサージオイルの活用もお勧めです。鎮静作用、鎮痛作用に優れ、首筋や耳まわりをマッサージすることで、リラックス効果だけではなく、肩こりや頭痛などの緩和が期待できます。血流改善にも役立ち、三半規管のケアにもおすすめです。
食養生として、上に熱がこもった状態を改善する清熱作用のあるキャベツ、ブロッコリー、ルッコラ、カリフラワー、菜の花などアブラナ科の野菜を取り入れましょう
この時期旬のタケノコも、脳の機能を円滑に動かすために必要な神経伝達物質であるアセチルコリンの材料となるパントテン酸や、自律神経の調整を行う甲状腺ホルモンの材料となるチロシンを含みます。そのため、ストレスが多い時期にも役立ち、「肝」の働きをサポートしてくれます。
4月も中旬になると、陽気が安定してきて、年度当初の緊張感も和らぎ、逆になんとなく調子が悪い、だるい、眠い、昔風に「春眠暁を覚えず」というような状態に陥りやすくなります。これら春の不調には、3つほど原因が挙げられます。まず第一に「基礎代謝低下にともなう自律神経失調」です。春になり気温が上昇すると、体温維持するための基礎代謝が低下し、連動して自律神経が副交感神経優位に移行します。すると一時的に副腎皮質ホルモンの分泌も低下し、心身の機能低下を引き起こし、だるくなってしまうのです。第二に「ビタミン欠乏」。春になって暖かくなると、基礎代謝量は減少しますが、新陳代謝は逆に、寒さによる抑制が外れて非常に活発になります。この代謝の過程でかなりのビタミン(特にVB1,VB6,VE)を消費し、不足しがちになります。この結果、調子が出てこないという仕組みです。豚肉、春キャベツ、ピーナッツ、ネギ、ニラ、ニンニクなどを食べてビタミンB群の補給をしておきましょう。最後の第三は「快適気候」です。人間が最も快適だと感じる気候が「気温22度、湿度65%」です。これは、人間が呼吸したり活動するのに最も負担が少なくなる状態となります。快適になると当然緊張感もなくなり、眠くなり易いとう構造です。こういった状況に対してのツボ療法は、先月に勧めた「太衝」「曲泉」「足三里」のツボ療法と共に、足の外くるぶしの前・下・後ろ周辺の刺激や、頭の天辺の「百会」の刺激も加えると効果的です。
最後に、4月からは、万物の生長の時期よろしく人間も心身の地力を増進するのに適した時期に入ります。東洋医学の原典である「黄帝内経素問」にも、「春の3ヶ月は万物が古いものを推し開いて、新しいものを出す季節であり、天地間の生気が発動して、すべてが生き生きと栄えてくる」と書かれてあるように、これからの3ヶ月(梅雨入り前まで)で作りあげた体力が1年中で最も充実してその後の季節を乗り切れるかの基盤となります(ただし、急激な運動は故障の原因となりますので、要注意)。じっくりと鍛え上げましょう。世界はイラン戦争勃発で、原油の供給も不安定になっています。たぶん長引かないと思うけど、もしエネルギーが枯渇したら、頼りになるのは自身の筋肉です。現時点では妻に勝てるか微妙な体力を夏までに鍛え上げなくては…鍼師も挑戦が始まります(泣)。

