今月の一言

2025年10月

まず初めに、先月緊急告知しましたが、10月16日(木)までエレベーターの交換工事のため、階段しか使えなくなります。ぎっくり腰や、膝痛、股関節痛、坐骨神経痛などの腰下肢の疼痛障害には、来院が厳しく誠に申し訳なく思います。そうでなくても4階までの昇り降りは大変です。皆様には大変ご迷惑おかけします。幸いなのは、いつまで続くかと思われた、猛暑日がお彼岸を境にかなり涼しくなったことです。「頑張って階段使って伺うわ」と言ってくださった患者様には、暑い中を階段上って4階まで、というのは回避されそうで、ホッとしています。それでも大変ですが、よろしくお願い申し上げます。

 今年の夏は、本当に9月の半ばまで猛暑日が続くという、鍼師も夏バテを感じる猛烈な暑さでしたが、常時エアコン運転による悪影響もあり、エアコンの冷えによるぎっくり腰や寝違い、おそらく換気不足が影響していると考えられる新型コロナなどのウィルス性感冒の流行が目立ちました。その後反転して涼しくなりましたが、体感の心地よさとは裏腹に猛暑の疲れがドッと出て、昼間妙に眠いなどバテ症状や自律神経の失調が多く見られました。これは夏の陽気の消耗を引きずっているためですが、鳩尾から臍の周囲と背中の胃の裏あたりをじっくり暖めると陽気がより早く回復しシャキンとしてきます。

これからは気温がさらに下がり、急速に空気が乾燥して本格的に秋の気配を感じるはずですが、東洋医学的な考え方では、秋は肺系(呼吸器・皮膚・粘膜)が影響を受ける季節です。これからは、肺を強化する「中府」「肺ゆ」、免疫強化の「大椎」、喉の強化や熱取りに使う「母指・人差し指の爪の生え際」といったツボを刺激しましょう。風邪に対しては、発熱の初期には上半身の発汗を促し、解熱薬は熱のピーク(発症から1日程度)まで我慢して服用、というのが理想です。漢方薬は、悪寒など風邪初期は「葛根湯」、発熱時は「麻黄湯」、咽喉痛には「小柴胡湯加桔梗石膏」、運悪く長引くと「桂枝湯」と場面により上手く使い分けましょう。

さて、少し涼しくなったと思ったら、いつのまにか日はだいぶ短くなってきていて、秋らしく物悲しい季節になってきています。昔から、人の霊魂を魂魄(こんぱく)と言いますが、魂と魄はそれぞれ正反対のベクトルを持つ精神エネルギーで、魂は能動的な精神エネルギーとして肝臓に宿り、魄は受動的な精神エネルギーとして肺臓に宿るとされています。このため、秋は肺が影響を受け、受動的な精神活動である感受性が高まり、ナイーブになります。これが東洋医学の言うところの「心身相関」です。具体的には、感受性がいい作品に繋がると「芸術の秋」になりますし、味覚に対する感受性が高まると「食欲の秋」になります。また、人間関係では「恋愛の秋」や「失恋の秋」も盛んになります。東洋医学的には「憂い・悲しみ」が過ぎると、さらに肺を傷つけるとも警鐘を鳴らしており、この時期は、何か辛いこと、落ち込むことがあっても、「秋が私をそうさせるのね」と責任転嫁したり、割り切って感情を爆発させ、涙をたくさん流すと、精神的に癒されてスッキリします。実は涙には、ストレスを受けたときに脳内に大量に作られるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を排出する作用があるためなのです。ACTHは内臓や筋肉を緊張させるので、健康のためにも悲しいときは我慢せずにしっかり泣くことをお勧めします。

また、「そうは言ってもなかなか・・・泣けません」という人は、ため込んだストレスで脳がマイナス状態になることがあります。脳がマイナス状態だと、様々な苦痛をさらに増幅することがあり、この増幅した苦痛が「本来の苦痛だ」と脳の勘違いを引き起こすと、苦痛の慢性化につながり苦労します。鍼灸では、頭の百会の上下左右にある「四神総」というツボに鍼をして気を落ち着けたり、仰向けで首を緩めながら耳後下の乳様突起近くの「安眠」というツボを刺激してリラックスさせ、脳のリセットを促したりします。漢方薬だと「半夏厚朴湯」が有効に作用し、気が楽になることがありますよ。



先月の一言

2025年9月

 8月は前半猛烈に暑く、つづくお盆中は30℃程度におちつき、真夏日なれど涼しく感じられる可笑しな状況でした。その後一転して猛暑日が続いて、とにかく「暑い!」としか言葉の出ない沸騰化真っ只中の8月後半ですが、東京都心は連続猛暑日(最高気温35℃以上)が10日と最長記録を更新し、年間猛暑日も25日以上と最多記録更新中です。疲れや消耗がドッと出て夏バテを感じる方も増えていますが、逆に猛暑の中でも花火や祭りなど皆さん元気に外出されているのも見かけます。子供達にはあっという間の夏休み、鍼師も母の怪我と見舞い、長男と彼女の慶事などドタバタしているうちに終わった一か月でした。9月と10月は例年より気温が高く残暑厳しい模様で、秋雨前線の影響も平年より遅れて10月になるとか。秋よいずこ?(泣)。

夏の消耗を引きずらないために、夏の延長線での冷たい飲食物は控え、内臓を温める作用がある根菜類(かぼちゃ、玉ネギ、レンコン、ニンニク、大根など)を食事に取り入れ、さらに食事の全体量も制限して胃腸の保養に努めることが大事です。

9月は台風が多く上陸する季節で、台風による急激な気圧の低下では、喘息患者が急増します。台風の影響を肌で感じる人は、肺が弱っているので、本格的に秋に突入する前に、乾布摩擦など、皮膚の刺激を通じて肺系統全体の強化を図り、ツボ刺激として、中府(ちゅうふ:鎖骨外端の下・陥凹部の下3センチ位)や母指や人差し指の刺激を試みてください。

 今年は例年よりありがたさを感じた冷房ですが、昔はなかった冷房がどんな影響をもたらすか?今月は「夏から始める冷え対策」です。

東洋医学的には、夏は汗をかくことで腎が休まり、冬になると腎がしっかり働いて体を冷やす余分な水分をかき集めて排出することで体を温める、と考えます。ところが、夏は冷房のせいで冷え性の素地を作りやすい季節でもあります。冷えとは詰まる所、抹消循環の血行不良ですが、手足が冷えるところから始まり、しもやけや様々な神経・関節などの痛みに繋がります。また余分な水分の停滞(東洋医学では「水毒」と呼びます)を引き起こし、腰痛・生理痛等が慢性化します。さらに進むと、身体を温める陽気と身体を沈静化する陰気の分離を引き起こし、(冷え)のぼせ・ほてり・頚の詰まり・頭痛・酷い肩こりといった症状を呈し、この状態が常態化すると、クモ膜下出血、脳溢血、心筋梗塞などで倒れることになります。こうやって見てみると、まさに冷えこそ万病の元。昔から「風邪は万病の元」と言けど、英語で風邪はcoldなのはそう言う事なのだ〜、というのは、まあ、こじつけですね。

 夏は冷房のせいで冷え性の素地を作りやすい季節でもあり対策が必要です。で、対策ですが、第一に下半身浴+「三陰交」のツボ刺激を1分間。第二に「水毒」に対する食養生。ニガウリ・セロリ・ピーマン・グレープフルーツなど苦みのある食材で、身体の余分な水分を取り去りましょう。

本来人間には外気が寒くなると、体温を維持するために末梢の毛細血管が収縮し皮膚近くに血液を流さないようにして、体温の流出を防ぐメカニズムがあります。これが働き過ぎ、末梢循環不全になると「冷え性」など様々な障害に繋がっていきます。こうならないよう人間の身体には毛細血管と動静脈の中間に、血液をバイパスする経路(AVA血管:動静脈吻合管)が存在します。このAVA血管さえ働けば「冷え性」にならずに済むのですが、冷え性の人はほとんど機能していないことが分かっています。これを鍛えるのが第三の対策です。方法は、

  • 冷たい水と熱いお湯を1分毎に交互に7回繰り返す「冷温浴」と
  • 仰向けに寝て手足を垂直に上に挙げて2分間ブラブラさせる毛管運動(ゴキブリ運動)です。

3ヶ月頑張ると体質が変わるので是非頑張ってみましょう。

 ちなみに、いわゆる低体温は、冷え性とはまた違って、エコカーのようなカロリーの省電力モードと言えます。これは、長寿の三大要素の一つで(他は、低インシュリンと高DHEAs)、過度な心配は不要です。ただ、免疫力は体温が高い方が強いので、感染症(特に肺炎)だけには注意ですね。


2025年8月

 7月5日午前4時18分、とうとう予言の大災害が…、起こりませんでしたが、それに先立つトカラ列島の群発地震やら、その後のインドネシアのレウォトビ火山噴火やら、不穏な雰囲気の漂う7月でした。大体、日時を限定した予言で、世間から注目されたものはまず当たらない、とは思っていましたが、万が一に備えて、カセットコンロのガスボンベをまとめ買いし、それを運ぶ際に4年ぶりのぎっくり腰を発症し、「鍼師の腰が大災害や~」と叫びつつ、久々にぎっくり時の辛さを味わい、患者さんにバレないよう装いつつ、スムーズな治し方の復習に勤しみました(転んでもタダでは起きん!)。急性の腰痛は、多くは筋膜や筋組織の損傷で、循環を促進し、疼痛緩和による過剰な緊張を除去したらスムーズに治りますが、深部の椎間関節の炎症だと少し時間がかかり、より長くかかるケースには、他の内臓疾患の反射痛や年配の方の腰椎の圧迫骨折などがあります。そのほか、痛みから損傷部近くの神経を圧迫し、神経自体が過敏化した坐骨神経痛などもあり、過敏状態の脱却まで時間がかかるケースもあります。さらに、本来はただの組織損傷だったものが、それが修復しているにもかかわらず、痛みに対する防御反射(痛い→傷口がある→傷口を広げないため固まっとけ→動作開始時に余計に痛む)が脳の勘違いで残ってしまい、脳の不安や緊張のリセットが必要なケースも少なからず見られ、苦痛が拗れて慢性化することが少なくなるよう願うばかりです。

 さて、7月早々に梅雨明けするかと思っていたら、結局関東は18日に梅雨明けとのことで、鍼師的には「雨も降ったりしたけど、梅雨の雨じゃないだろ」とか「梅雨は6月8日からの1週間だけだったな」とツッコミしつつ、猛暑の突入となりました。気温上昇時には首肩コリや頭痛など陽気の上昇による症状を呈した患者さんが多く、睡眠の質低下による疲労蓄積や冷房の影響か、鍼師以外にもギックリ腰が多い一か月でした。

 これから、暑さのピークを迎え、8月中旬までが最高に暑い酷暑だと思いますが、熱中症対策は先月の一言を参考にしつつ、不要不急の外出は控えるくらいが良いでしょう。徐々に暑さにも慣れてくるはずですが、次は長引く暑さ(2か月ほどか?)で、じわりじわりと心身消耗して夏バテになります。夏バテで影響を受けるのは、第一に消化器系で、はじめは、食欲はあるけど食後腹部が長く張るから、食欲不振に進み、下痢、胃に由来する下肢の外側がだるくなる、などが出てきます。さらに進むと、動悸や心臓の痛みといった循環器系(特に心臓)、倦怠感・無気力といった心身症状にも及びます。出来れば第一防衛線の消化器系で消耗を食い止めたいものです。

で、胃の養生ですが、まずは、しっかり空腹時間を作る事が大事。特に夜寝る前の食事は控えることで胃は余裕を保てます。それでも暑さの影響で胃の運動不全になった場合、これに対するツボ療法としては、ファーストチョイスで「足三里」。胃酸過多気味の場合は「足三里」に代わって「陽陵泉(膝外側の大きな骨の下)」を、消化不良で下痢気味の場合には「百会」が有効です。漢方薬としては「六君子湯」。主成分の一つビタミンPが、「グレリン」というホルモンの分泌を促進し、食欲増進・運動能力アップにつながります。ちなみに、ビタミンPは構成生薬の「陳皮」に含まれますが、みかんの皮を天日で乾燥させたものなので家庭でもすぐ作れ陳皮茶なども良いかもです。ストレスが胃痛にきやすい人は、胃が知覚過敏になっています。これには少量(胸やけしない程度)の唐辛子(カプサイシン)を長期服用するのが有効です。胃痛がなくなるだけでなく、過敏性大腸炎にも効きます。

 さて、夏は、体内のこもった熱を取り除く「陰」の食べ物、いわゆるトマト、きゅうり、なす、といった夏野菜を身体が欲しますが、食べ過ぎは禁物。冷房の冷えと相まって、冷えや気怠さを感じたら生姜と一緒に摂るなど工夫しましょう。しかし、ニガウリ・セロリ・ピーマン・パセリ・グレープフルーツなどの苦みのある食材は、夏の「水毒」にたいする食養生としても、心臓を癒すためにも有効です。心臓やストレスに拠る心身疾患に対しては、「労宮(手のひらの真ん中)」や「郄門:ゲキモン(前腕内側のど真ん中)」のお灸やツボ指圧も試してみてくださいね。


2025年7月

6月9日。鍼師は帰省に合わせて大阪・関西万博に行ってきましたが、近畿は丁度梅雨入りの日で、午後から雨がパラついてきたものの、暑すぎず助かりました。ただ、日曜日の仕事の後、夜間車を走らせ、朝からの入場だったので、昼過ぎには足痛く、腰痛も出て、久々にギックリではない疲労腰痛を味わいました。皆さん疲労の蓄積と睡眠不足には気を付けましょう(どの口で言う~)。動画でネガティブ情報に曝され過ぎた妻は、「虫の大群が~」とか「レジオネラ菌が~」とか万博にはかなり否定的でしたが、入場すると大屋根リングに上って景色を楽しんだり、入りやすいパビリオンで色々見聞きしたりと、しっかり楽しんでいました(あなた元気ね)。人気パビリオンは抽選外れ、並ぶにも長蛇の列で諦めましたが、十分楽しめる万博ではないかと思います。YouTubeやSNS等のネガティブ情報は万博に限らず、話半分に考えたほうがいいような気がしますね。

6月は中旬の梅雨入りから1週間ほどで梅雨明けか?というくらいの気温上昇と晴天続きで、梅雨時期の神経痛多発から一転、のぼせによる首肩の凝り、寝違い、頭痛・めまいと多くの体調不良がみられたり、雨が降ったと思ったら、亜熱帯のスコールのような土砂降りで、その後の湿度がサウナ風呂状態で、体が重かったりと、なかなか変化の激しい一か月でした。梅雨は7月早々にも明けそうで、ついに猛暑・酷暑・残暑と9月末(もっと?)まで続く厳しい暑さ到来かと心折れそうです。

すでに死者や搬送者も出ていますが、この時期にかかりやすいのが熱中症。人間の自律神経は暑さに対しては対応力がかなり劣り、対応出来る温度差も8℃までで、それ以上になると四肢の脱力・めまいといった軽度熱中症の原因になります。さらに狂った自律神経のため体温調節が出来ないと急激に体温上昇を起こし、めまい・四肢の痙攣・吐き気といった中度熱中症になり、最終的には体温暴走・意識障害など重度熱中症になり、点滴が必要な危険な状態になります。すぐ出来る救急措置は、保冷剤等で大きな動脈の表出する部位(頸、脇下、鼠蹊部)を冷やし、食塩水やスポーツドリンクを少しずつ摂取することです。それと中度以上では、内蔵にダメージを受けるので、お腹は冷やさない様(逆に温める)ようにし、直ちに救急車です。

 予防としては、①汗腺を鍛えて夏モードにする。(10日間毎日、大量の汗をかくことで、体温が上昇すると同時に、全身からダッと汗をかき、熱放散してスッと汗が引くエクリン腺中心の発汗の獲得が出来ます。)②適切に水分補給をし、脱水に気をつける。(一度の水分補給は口に含む程度にし、20~30分毎にこまめに摂取するのが理想です。高齢になると、喉が渇くという感覚が鈍くなってきますので、特に注意です。)③睡眠不足は、発症リスクを上げるので寝不足注意です。

さらに先月も触れましたが、この時期常備しておきたい漢方薬「五苓散」。体内の水分調節機能を整える作用で、熱中症の治療・予防、さらに温泉の湯当り等にも使えて便利です。

 もう一点、脱水の多い夏に一番多く発症する痛風。気を付けたいけどビールも飲みたい。尿酸はアルカリ化した尿に溶け込んで排出されるため、ナトリウム、カリウム、カルシウムを多く含む食品、ワカメ、ひじき、干し椎茸などを多く摂るのは効果的。Meijiから発売されているプロビオヨーグルトPA-3は、乳酸菌PA-3株がプリン体を取り込んで腸管からの吸収を阻害するので、食前に摂って程よいビールを楽しみましょう。

先日、休診日に妻と映画を観に行ってきました。もう30年ほど前、妻と初めて見に行った映画がSFアクション超大作の「インディペンデンスデイ」でしたが、開始15分で隣で居眠りをされて、後で「無茶苦茶疲れてたのよ」と弁解されましたが、この映画のどこに居眠りの要素がある?と若干自分の見たい映画を押し付けることがトラウマとなり、以後妻の好み優先で映画を見るようになりましたが、今回は患者さんお勧めの「国宝」。歌舞伎に親しみがない夫婦の前知識ゼロの映画鑑賞でしたが、クライマックスでは涙がツーと自然に流れ、静かに感動できる良作でした。妻も鑑賞中泣いていたようで、「この映画は共感出来たわ」とホッとしました。その後も数日間、心の中の雑念が消え、静寂な空気が漂うような余韻が残り、これも、なかなかに無い経験でした。皆さんもよろしかったら観に行ってください。もしかしたら心の静寂を得られて、心頭滅却して火もまた涼し、となるかもしれませんよ。


2025年6月

 5月27日9時半ごろ、大爆音と振動が~。巨大落雷?北朝鮮のミサイルか~?と大騒動でした。新築マンション建設のためのボーリング作業中のガスボンベ爆発とか。自宅からはすぐ近くでしたが、幸い被害はなく、気遣って連絡くださった皆様には御礼申し上げます。しかし、世の中何が起こるか分かりません。普通に生活できることの有難さをヒシヒシ感じる今日この頃です。

 さて、大して爽やかでなかった5月を終え、6月は梅雨に入りますが、多湿のため、身体に水分が停滞し、熱が放散しにくくなります。体感的には、ジッとしていると寒いのに、少し動くと暑い感じです。この停滞した水分は、朝に顔をむくませ、夕方には重力で下がって足に靴下の後をガッツリ付けます。東洋医学で言う「水毒」の状態です。これに梅雨寒や気圧の低下が加わると、関節痛や神経痛・古傷痛が目立つようになります。これは急激な気圧の低下で体液成分が変化することと、冷えにより体表の血管壁が収縮し、痛みの受容器を刺激することによって引き起こされる痛みで「気痛」と呼ばれます。応急的には温めることが一番です。また、湿気は消化系統である「脾」に影響が出ると、吸収力も蠕動運動も低下し、お腹が張ってもたれ気味。尿も大便もすっきり出なくて急に下痢・腹痛を起こすこともあります。

 これらの状態には、まず水分の摂取管理。特に血液ドロドロの対策意識が強過ぎる方は、この時期水の摂り過ぎが目立ちます。水分を摂るタイミングは「のどの渇き」だと思いますが、水分の摂り方は、冷たいものをガーっと飲むのは駄目です。少ない量から出来るだけ常温以上で口に含み、唾液を混ぜてゆっくり飲みます。実は、のどの渇きを止めるのは、水ではなくて唾液です。唾液は自前で作れる最高の胃腸薬とも言われ、炭水化物の消化はもちろん、殺菌作用で虫歯や歯槽膿漏の予防にもなり、胃酸の中和により逆流性食道炎の予防にもなります。そして、のどの渇きを抑えることで、水分の摂り過ぎを抑制します。噛む事でよく出るようになるので、食事では一口30回を目標に、よく噛む習慣を身につけましょう。当然消化も助けます。

多湿以外でも身体から水が抜けにくくなる要素は塩と砂糖。入院した時に不味いと感じる病院食は減塩をしていて味が薄くなっているためですが、入院中に余分な水分が抜ける経験をする方が一定数居られます。

塩分より問題なのが糖分。甘いものを摂りすぎると使われない過剰栄養素が溜まり、水と絡んで「湿」となり、淀みや滞りの原因となります。滞りが続くとなんとかそれを解消するためにその局所に熱が発生します。これが湿熱です。関節炎や皮膚炎にもつながります。

 次に、発汗。運動が苦手な方は下半身浴などで汗を出しましょう。体温調節に良い発汗とは、体温が上昇すると同時に、全身からサラッとした汗をかき、熱を放散させるとスッと汗が引いて汗腺が閉まる、エクリン腺中心の発汗です。アポクリン腺中心だと、ベタッとした汗が汗腺を塞ぎ、熱も放散せず、体力も消耗します。良い発汗法は、1〜2週間毎日、大量の汗をかくことで獲得できます。初めは体力消耗を感じるかと思いますが、夏に向けて熱中症になりにくい質の良い汗をかけるよう頑張りましょう。

 ツボ療法としては、先月書いた「足三里」「中月完」「少海」の刺激を継続し、食養生としては、利尿作用を高め水分代謝を改善するハトムギ、小豆、緑豆。脾胃を温めて、発汗を促すショウガ、ネギ、花椒が有効です。また、漢方薬では、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)が消化吸収を助けながら、余分な水分を取り除く作用があり、熱中症で多用する五苓散(ごれいさん)も水分代謝改善で効果的なので、持っておいて損は無いでしょう。


2025年5月

 春というべきなのか?4月は初旬の寒さから中下旬の暑さ、朝晩と昼の日格差も大きく、春に三日の晴れなしの如く、天気も気圧も不安定で変化の激しい一月でした。後半は妙に湿度も上がり、もう梅雨か?という日もあり、胃腸の不調を訴える人も見られました。本来は梅雨時期の対策ですが、胃腸に自信のない人には、食事を6時間以内に収めて残り18時間をプチ断食する食事制限でリセットです。加えて足三里や中脘(胸骨下端と臍の中央)、少海(肘を曲げてできる横じわの内側の端)の刺激が有効です。

 さて、皆さん有酸素運動(ウォーキングなど)は進んでますか?鍼師の妻は毎日セッセとウォーキングが一年続き、先日の血液検査で百点満点貰って得意げで、反面鍼師は、運動大事と口舌を並べながら、自分のことは棚上げするという体たらくで、年上妻より早死にしそうで、オラが居なくなって苦労すればいい(泣)、と悪態ついております。

 さて、今月は先月の運動の続き、筋トレについて。筋肉は20歳代をピークに筋力及び筋量が低下しはじめ(年1%程度)、特に50歳代を超えると年々低下の割合が増加していきます。高齢になり低下した筋肉量がピークから40%低下すると何が起こるか?歩行速度の低下やバランス感覚の悪化により、転倒しやすくなり、スカスカになった骨(骨粗しょう症)や硬くなった骨(コラーゲンが抜けて弾力を失う)で体を支えきれず骨折します(特に大腿と手首)。骨折から寝たきりになり、どんどん筋力が落ちるのはご存じのとおりで、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)と診断され、フレイル(虚弱)が進行し、介護なしでは生活ができなくなります。さらに筋肉のエネルギー消費が少なくなって肥満になり、インスリン抵抗性が高まり2型糖尿病のリスクも上がります。免疫が低下して感染症にかかり易く回復しにくくなり、外出の機会が減り社会的孤立でうつ状態にも。脳の海馬や前頭前皮質は運動をしないと神経伝達物質が増えず、意識レベルも低下しやすく、認知機能の低下にもつながります。全くいいこと無しですが、これが目の前にある現実で、努力で回避できる未来でもあります。生涯現役を目指して維持すべき動作能力はこちらを参考に。今まだ、気力・体力があるうちが勝負です。

ということで、加齢とともに減少していく筋肉量は、その大部分が速筋(白筋)で、筋トレ(無酸素運動)で増やせます。増加の過程は、短時間の筋肉の負荷→筋繊維のダメージ→休息による筋繊維修復→修復時に筋繊維の増加と筋細胞のボリュームアップという超回復理論で説明されます。ちなみに次の点は特に若い方の筋トレの注意点として指摘しておきたいですが、効率的な筋トレ(筋肥大の最大化)は、筋疲労をしっかり抜くこと。2~3日の休息がベストなので、週2~3回が良い。十分な休息期間を設けずに筋トレを続けると、筋繊維での修復が間に合わず、結合組織(主にコラーゲン)で修復されてしまいます。これを線維化と言い、柔らかい筋繊維と違い柔軟性がないため、筋肉は固くなり、故障もしやすくなります。また、運動フォームとして、狭い関節可動域で高負荷トレーニングを続けると、筋肥大はおこるものの筋繊維は短くなり、関節可動域は狭く(関節が固い)なります。最大限の関節可動域でトレーニングをするよう心がけましょう。さらに筋トレ後に静的ストレッチ(関節を引き延ばして停止)を行うことも必要です。ストレッチを行うことで、筋繊維への血流が増加し、修復が促進され、筋疲労の原因物質である乳酸の排泄が促されます。さらに副交感神経が優位となり、精神的にもリラックスできます。また、筋肉の原料は、摂取する栄養素が必要となりますが、たんぱく質と糖質を「運動後30分以内」に摂取するのが最も効果的とされています。これは「ゴールデンタイム」とも呼ばれ、筋肉の合成が活発になる時間帯となっています。

高齢者が自立して生活するために必要な筋肉量は、「若年時の筋肉量の70〜80%」がひとつの目安とされています。とくに重要なのは特に重要なのは体幹筋肉(腹筋・背筋)、臀部筋肉(お尻)、下肢筋肉(太もも、ふくらはぎ)です。

生涯現役を目指す簡単トレーニングメニュー(はこちら)を挙げておきました。参考にしてください。

最後に、やらなければいけないことは、大体皆さんわかっているけど、なかなかスイッチが入らないもの。今回の一言(どこが一言やねん)をきっかけにして、先月のウォーキングとともに筋トレを始めていただければ幸いです。筋肉量は簡単には増えませんが万物の生長の時期であるこれから3ヶ月間が鍛え直すのに最適です。1年間を俯瞰してみると、ここで作りあげた筋力・体力が、その後の季節を乗り切れるかの基盤ともなります。

鍼師も、生涯現役のために「筋肉は正義だ~!!」。という主張を掲げて次の参議院選を戦います(ウソ)。

2025年4月

3月は三寒四温の言葉のごとく、穏やかな日が続くことはなく、朝の雷鳴に雹や吹雪、かと思えば一転して夏日などと、大荒れに荒れた一カ月となりました。私事でも、鍼師の長男が海外赴任で関空を発つので、見送りに行く予定だったのが、降雪の予防的通行止めというまさかの措置で、東京を脱出できず、妻の慰めに一日費やす(泣)、なんてことがありました。激変する天気と気温のため、自律神経の調整余力が削られ、体調崩す方が多くみられましたが皆さんは如何でしたか?

 さて、4月は春の陽気が本格化しますが、せっかくの心機一転した気持ちとは裏腹に、「春眠暁を覚えず」の、なんとなく調子が悪い、だるい、眠い、といった状態に陥り易くもなります。これら春の不調は、まず暖かくなって急に活発になった新陳代謝で大量のビタミン(特にVB1,VB6,VE)を消費して不足して起こる①「ビタミン欠乏症」。新陳代謝とは逆に体温維持不要で低下する基礎代謝に連動して副腎皮質ホルモンの分泌が一時的に低下して、心身の機能低下となる②「副腎疲労」。もう一つ、人間が最も快適だと感じる③「快適気候(気温22度、湿度65%)」で、生命活動の負担が最も少なくなって緊張感もなくなり、眠気が襲うという原因で説明されます。対処法としては、快適気温は仕方ないにしても、ビタミン欠乏には豚肉、春キャベツ、ピーナッツ、ネギ、ニラ、ニンニクなどでビタミンB群の補給を積極的に行い、副腎の機能を強化する「腎ゆ」「志室」や「太谿」のツボ刺激が有効です。また、進級・進学・入社・転勤・昇進・引越などといった様々な環境の変化に気疲れ・気後れが出た時は、頭の天辺の「百会」にガツンと刺激を加えて、意識を覚醒させてポジティブに乗り越えましょう。

4月の下旬からは、春の急激な陽気の上昇にも慣れ、万物の生長の時期よろしく人間も心身の地力を増進するのに適した時期に入ります。昨今の、米大リーグの大谷他日本勢の活躍やサッカーの世界最速《2026年W杯》出場決定などスポーツ界の活躍に歓喜しつつ、それに負けじと我々も「運動」です。ただし、「(動かざれば気が滞り、)動き過ぎれば気が衰える」で、やる気に満ちてスタートダッシュすると故障のリスクが上がりますから、負荷量はじっくりと少しづつ増やすことです。しっかりとストレッチして、まずはウォーキングから。

有酸素運動であるウォーキングでは徐々にスピードと距離を伸ばすと1ヶ月で心肺能力がかなり上昇し動悸・息切れがなくなります。脂肪燃焼効果と共に将来的な心臓血管系疾患のリスクを軽減するので、習慣にしたいところ。回数的には週5回だと多すぎて逆に心疾患発症のリスクが上がるとのデータもあり、週1~4回で無理のない程度に。循環系にかける負荷の強度は、最適な心拍数が最大心拍数の65%前後で、簡便法として220から自分の年齢を引くと大体同じくらいになります。運動については、筋トレ(無酸素運動)も大事なのですが、一言の分量多すぎて来月に回しますね❤


2025年3月

今年は1月20日「大寒」が3月並みの暖かさになったことで、気象庁の1月21日発表の3か月予報では、2月は平年より気温が高くなるとのことでしたが、2月に入ると「どこがやねん」と言いたくなるような、寒さでした。やはりというか、冷えから起こる腰下肢の疾患が多かったです。2度の長期寒波はなかなか予測難しいですが、暖かくなると言われると油断しますよね。

3月は、倍率33倍で東京マラソンの出場枠をゲットした幸運の患者さんも「何着て出ようと?」と苦心するように、いきなり最高気温20度近くになるようで、これからは春一番などフェーン現象による急な気温上昇と寒の戻りの「三寒四温」の季節です。「木の芽時には調子が悪い」といわれるように、この急激な陽気の変動には自律神経がついていけません。東洋医学では、春の陽気は肝気を乱し、体内の気が統率を失い、上へ昇って下半身と上半身のバランスが悪くなり、足腰がだるい一方、肩から上は詰まった感じで、肩・首の凝り、頭痛、さらには眩暈・耳鳴りを引き起こしたりします。この場合当院では、足の1・2指の間の付け根にある「太衝」や膝窩横紋の内端にある「曲泉」という肝臓強化のツボを刺激し、下腿を指圧して上昇した肝気を下に下げます。皆さんも入浴中などにふくらはぎをせっせと揉みほぐしてみましょう。肩首の凝りは散鍼などで散らすように治療しますが、後頸部だけでなく頸動脈のある前頸部も大事。頸動脈は他の動脈と違い、脳の血流がショートしないよう特殊な調整がされて血液が脳へ一定の速度でスーと流れて行きます。また、頸動脈には自律神経のセンサーもあり大変重要です。脳がスッキリ働くために、耳の下から頚の中央に走る胸鎖乳突筋をその奥の頸動脈ごとマッサージするのは非常に有効です。

さて、この肝気の乱れ、精神的には能動的な精神活動のコントロール不能という形で現れます。これがマイナスに働くと、やる気がでず、ボーとして物事に集中出来なかったり、鬱っぽくなったりします。逆にプラスに働くと統制が利かずに突発的行動に出たり、イライラして怒りっぽくなったりするわけです。痴漢や露出狂などの軽犯罪が増え、周囲との摩擦や夫婦喧嘩が多くなるのがこの時期です。皆さん、精神修養と思って、感情と行動(発言含む)を直結させず、ワンテンポおいて、冷静~に、行動によりもたらされる結果を考えて、慎重~に慎重~に行動しましょう。

トランプ大統領は、就任以降、ジャイアンのように傍若無人に振舞ってますが、アメリカの強い立場を背景に、言いたい放題、やりたい放題してますが、計算しているのかいないのか?もたらされる結果が理不尽のものになりませんように(祈)。


2025年2月

昨年と違って穏やかに過ぎたお正月でしたが、鍼師は休みの3日間で3キロ増量の大ピンチ。普段食べないお餅と息子たちの食べっぷりに釣られての結果でしたが、「お母さん(妻)、この体重計壊れてるよ〜」と言ってしまう始末でした。

東京都心は12月から晴天が続き、気分の良い年明けとなりましたが、1月も雨天は極わずかで、乾燥は酷く、洗濯物は早くパリパリに乾くものの、皮膚は乾燥しすぎで掻痒症になる方も多いように思います。皮膚の状態は、綺麗好きほど荒れるのですが、痒くなって「汚れや垢は、こそげ落としてピッカピカだ〜」とゴシゴシ洗うのは実は逆効果なのです。肌に関してはその垢こそ大事。人体の表面を覆う角層は、死んだ細胞(=垢)といえる角質細胞でできていて、その角質細胞の間にが、 NMF(アミノ酸保湿成分)やセラミド(細胞間脂質)といった保湿に役立つ成分が、まるでセメントでレンガブロックを固定するかのように埋まっていてコーティング層となり、水分を逃さないようにするのです。この角質層は強くこすると24時間回復しません。風呂好きでも肌は軽く表層の油分を手で洗う程度で垢も大事な身体の一部と考えて、長年連れ添ったパートナーのように?入浴時は優し〜く、大事に扱ってあげましょう。内面から肌を助けてくれるものに、薏苡仁「ヨクイニン」という漢方薬(ハトムギ粉末)があり、これも有効です。ツボとしては、肩を水平の高さに外転して、肩の前にできる窪みに肩髃(けんぐう)というツボがあり、美肌のツボとしてお薦めです。

さて、その乾燥も作用してか、インフルエンザも新型コロナもその他の風邪もずいぶん流行りました(鍼師も新年久々に喉・鼻風邪をひいて痰がグズグズしました)。そろそろ落ち着いてきたのかなと思っていたら、今度は例年よりは温かかったためか、スギ花粉も飛び始め、憂鬱な花粉症の到来です。現代医学ではアレルギー治療として「減感作療法」があり、特にだんだん濃度を濃くした花粉エキスを舌下に垂らして慣らしていく「舌下免疫療法」が主流となっています。ただ、今治療を始めても来シーズンに効果が期待、というように地道な治療が必要です。東洋医学でも花粉症が悪化する体質「水毒(水滞)」を改善するという根本療法がありますが、これも即効性は無く、地道な治療は同様です。ということで、発症した花粉症には対症療法中心になります。効果的なツボ療法としては、メガネの鼻あてが当たる所にある「鼻通」というツボや正中線上で髪の生え際から1~2㎝入った所の「上星」というツボ、後は手の「合谷」があり、これらのツボをズーンと強めに押してパッと離すという刺激を5~10回与えるだけでも鼻水症状の軽減を期待できます。最近は、副鼻腔部分の鍼通電で鼻粘膜の過剰反応が消失したという報告もあり、効果のほどを検証中です。生理食塩水(0.9%の食塩を溶かした蒸留水)を使った鼻うがいも有効です。全然痛くないので試してみましょう。また、腸内環境の改善は、免疫機能の正常化・強化に繋がります。年末年始で食べ過ぎて、良くない食習慣を引きずっている方は、12月にも紹介した週一回の夕食断食で、胃腸をリセットし、絶好腸にもっていきましょう。


2025年1月

新年、明けましておめでとうございます。本年も鍼師祥寿院をよろしくお願い申し上げます。昨年は元旦から能登の大地震や航空機の衝突火災とお祝いができるムードではなくなりましたが、今年は良い年であってほしいものです。

昨年末は、12月初旬の穏やかな気候から、中旬以降寒波で一転して気温が下がり、大掃除など普段と違う身体の使い方の要因もあってか、ぎっくり腰や肩腕痛が多く見られました。また、関東は晴天が続きカラカラの乾燥(日本海側の大雪よりはマシ)のために、流行が始まっていたインフルエンザも罹患数が増え、「少々の風邪症状なら、病院の待合室の方が感染が怖いから行かない方が良い」と言われるくらい、コロナやその他の急性上気道感染症とともに風邪も蔓延していて、要注意です。

寒い時期に気を付ける病気は脳血管障害(脳溢血や脳梗塞)や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)などの血管病。昨年12月に54歳の中山美穂が急死されたことで可能性が指摘されたヒートショックですが(鍼師も精神ショック)、冬の入浴は、脱衣場が寒いと服を脱ぐ時点で寒さにて血管が収縮し、血圧が上がり、風呂につかると、はじめは熱いお湯の刺激でさらに血圧が上がって200㍉に達します。その後、しばらく浸かっていると今度は風呂の温度で血管が拡張し、一気に120㍉以下に下がってしまい、血液が巡らず貧血を起こし、失神してそのまま溺れてしまうのです。また、早朝目が覚めてトイレに行くときに寒さによる毛細血管の緊張と血圧の急上昇で脳卒中をおこす事例も増加します。最高血圧と最低血圧の差を脈圧と言いますが、これが大きい人は血管壁の弾力が失われ、動脈硬化が進んでいる証拠なので特に要注意です。症状としては、風邪症状が無いのに頭痛がして、左手の脈が右と比して早く激しく打っている場合(中風脈)、心臓や脳に大きな負荷がかかっていると自覚しましょう。ツボ療法としては、「だん中(両乳首と正中線の交点)」や、前腕の掌側中央を手首から肘までのライン(心包経)を10秒ほど指圧刺激すると心臓に余裕ができ、第2の心臓であるふくらはぎをもむのも循環系統に余裕が出来るので有効です。

昨年10月末に、ChatGPTが「医師よりも正確に病気を診断する」とする衝撃的な論文が発表されました。現役の医師がChatGPTをアシスタントとして診断した正解率が76%に対し、医師単独の正解率が74%と僅差であったのが、医師の意見を除外してChatGPTに診断を丸投げしたら正解率90%に達したという結果で、人間の経験や思い込みによる判断バイアスが、逆に診断の正解率を低下させるという残念な結果が出ていました。

なかなか終わらない戦争や紛争も、自己の利益を最大化するという目的でなく、国家の枠組みを超えて、すべての人類の共存共栄を第一義とする、という前提でAIに政治判断の可否をさせた方が、絶対平和なんだろうな〜とか、地球の環境を最優先させたら、人類抹殺になるのかなぁとか、いろいろ考えさせられました。愚かで利己的な人類が、どうか破滅的な判断をしませんようにと祈りながら、個人的には、淡々と、より良い仕事が出来るようにと、気持ちを新たにしている鍼師でした。

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